SaenkiedeJong

クレッシェンド 音楽の架け橋のSaenkiedeJongのレビュー・感想・評価

4.2
イスラエルパレスチナ情勢を知りたくて観た映画。恥ずかしながら中東の紛争事情、アラブ人とユダヤ人の対立のことは今回の戦闘が起きるまでほとんど知らなくて..その対立を当事者の若者の目線で見ることができてよかった。民族や宗教のことは自分には難しくてよくわからないけど普段の生活にも政治が深く関わっていることが各々の発言ひとつとってもよく伝わってきた。自由を守る為、奪われない為に政治と切り離して考えることはできない、対してこっちにはそうはいっても自由も権利もないと、真剣に話すそれぞれが、双方が理解し合えてなかったとしてもそういうことを話すこと自体が自分とは違う世界のようで凄く力強く見えた。でもまだ他人事に思えちゃうんだけど..(その意識を変えたい)普段の生活なんて政治と切り離して生きてるし考えるのは選挙前くらい。でも彼らは自分の考えを持ってぶつかり合ってたのが新鮮だった。そういう状況下で生きてて根深い問題を抱えているということがこれだけでもよく分かる。ホロコーストの記憶、入植で住む場所を追われた家族、紛争の犠牲者...彼らの話を聞いてて無知なりにこの憎しみの連鎖が終わる日はくるのだろうか..と考え込んでしまった。その話をしてるときに1人が、"これは歴史の出来事じゃない、家族の物語なんだ"と放った言葉が忘れられない。数字で示された多くの犠牲者には暮らしがあって人生があった。スポルクのレッスンで歩きながら互いを見つめ合うシーンが印象的だった。ただすれ違うだけじゃなくて相手の目を見て認識する。スポルクも最初は理解し合えるはずがないと思ってた、でもパレスチナの地を踏んで変わった。こんなレベルのことで変われるほど簡単な問題じゃないかもしれない、けどできることから始めれば世界が変わっていくかもしれない。次代に残すんじゃなくて君たちが変えていくんだ、その言葉が刺さる。この経験を経て彼らが大人になった時、何か違う未来があるんじゃないか、と希望を託したくなる。今回の映画で国境の検問所の様子を初めて知ったりイスラエルは18歳から男女が兵役につくことを知った。最後のシーンは隔たりはあるけど和平への一歩になったと信じたい。融和へ、共存へ、少しでも近づいたなら良いな。現実でもこういうことが起こってほしい。あと自分はあまりにも勉強不足過ぎる。(なので拙文、自分メモとして記録)

追記
戦争とかのジャンルはメンタル弱いとき観れないけど、これは大丈夫だった。オーケストラの音楽が美しく心地良く割と静かに話が進んでいく。対話をするシーンが多く見入ってしまう。
SaenkiedeJong

SaenkiedeJong