しちれゆ

テーラー 人生の仕立て屋のしちれゆのレビュー・感想・評価

テーラー 人生の仕立て屋(2020年製作の映画)
3.7
ギリシャのテッサロニキ映画祭で3つの賞を獲った作品だそう。監督は39歳の女性、やっぱり、と思う。美しいウェディングドレスを作り上げるニコスの物語は女性視点だからこそ。足踏みミシンの回る音、ミシンを踏む足元の規則的なリズム。
チュールやレースの付いた大きく膨らんだスカートのピンク色のドレス。真っ白でエレガントな細身のドレス。女性の夢が詰まっている。
ニコスは高級テーラーの二代目。創業者であるニコスの父は「おまえはお針子じゃなくて仕立て屋だ」と苦々しげな表情。一流テーラーとしての誇り。でも店にあるたくさんの型紙の主はもうこの世にいない。高額な布地は15年も前に仕入れたもの。世の中は変わりどこでもカジュアルな服装OK、″よそ行き″という言葉はなくなった。それを本当は分かっていた父はニコスの作ったウェディングドレスを見て「いい出来だ」と言うのです。
ラストでは″ウェディングドレス ニコス・カラリス″と描かれたバン(いつの間にか屋台からバンに)が楽しげに?走っている。

ひとつ気になるのはニコスと隣人オルガの不倫のその後。2人の関係に気付いていたオルガの娘ヴィクトリアの気持ち。ここ回収なかったです。
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