[ハートリー世界の殺人ファンタジー] 60点+10点
エイドリアン・シェリー初長編作品。"なーんもすることない"と呟いていた無気力な女性ドナが、ある日不快な騒音を出すスクランブルエッグを食べた日に、通りで銃撃事件を目撃し、動揺してぶつかった男アダムの家に上がり込む、という濃密なオープニングが最強。変人だらけで会話が噛み合わない感じはハートリーっぽさを感じる。翌日も同じ通りで昨日と同じ殺人風景を見かけてしまい、しかも行く先々でメフィストフェレスのようにアダムが現れるんだが、それが起床や歯磨きや同じ店で昼飯を食べるのと同レベルの繰り返しの延長線上に位置付けられているのが非常に奇妙。全体的に自由すぎて、思いついたことを全部放り込んだ感じで、終盤にかけて支えきれなくなっていくのには苦笑してしまったが、エイドリアン・シェリーがとても可愛いので10点足す。