若大将オーウェン

コーダ あいのうたの若大将オーウェンのレビュー・感想・評価

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)
4.0
歌の才能を持ったルビー・ロッシ(エミリアジョーンズ)の人生の可能性が開かれる瞬間と家族のために、自分の「役割」のために人生を犠牲にしなければいけない瞬間が重なる

別に誰も悪いわけではないために生じるどうしようもない葛藤とルビーの自分の力を試したいという真っ当なティーンエイジャーらしい気持ちがとても伝わってきて良い映画でした

ルビーの歌が分からないルビーの家族たちの立場になれる無音のシーンが素晴らしいです。切なさで胸がいっぱいになります。

これは分かりやすい例ですが、子供に才能があるかないかなんて誰の親にもわからなくて信じるだけです。なので普遍的な映画とも言えると思います。

そして先生がめっちゃ良いじゃないですか!大人や社会の厳しさも教えつつ、主人公をサポートし導く。クライマックスはあそこからグッときました

もちろんエミリアジョーンズの素晴らしい歌声。そして「青春の光と影」「スターマン」といった素晴らしい楽曲。

「青春の光と影」はへレディタリーで使われてしまってからハートフルな使われ方が難しくなったんじゃないかと思ってましたが、この一作で塗り替えましたね

家族を描いた映画は家族バンザイ!という描き方が多すぎて辟易しますが、「コーダ あいのうた」は家族の嫌な面やどうしよもなさも描いています。
それはつまり決定的な分かり合えなさです。

それを描きつつ、ラブみと一人の少女が開かれていく人生の瞬間を描いたとても良い映画でした。

こう書くと上品な映画に感じるかもしれませんが下ネタも多く笑えるコメディ映画でもあるのも良いです