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コーダ あいのうたのEPATAYのレビュー・感想・評価

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)
4.2
音楽映画というよりは、ヒューマンドラマに徹底した作品だった。

映画自体には、聾唖者の家族の中で一人だけ聴者であるルビーという文脈があって、ヤングケアラーとして自分を諦めなければいけない若者という物語になっているが、劇中のセリフでもあったように、子どもは親の“もの”なのかという根本的な家族の関係を描いた映画である。

スクリーンに映るのはどこにでもいる“ウザい“家族。

好きな相手がいる前で下ネタをいうデリカシーのない両親や、ことあるごとに毒を吐きあう兄。

彼らにとって耳が聴こえないことは些細な問題ですらないが、社会はそうではない。

聴者である主人公の視点から“ウザい”けど楽しい家族を描き、とある“視点転換”が遂に来たときにハッと気づく凄い演出。

からのコミュニケーションの本質を見せるクライマックスの素晴らしさ。

あの視点転換は文字通り会場全体が息を呑み、その後は音楽とは聞かせるものでは伝えるものという本質の“体験”。映画の魔法とはまさにこのこと。
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