無音でも伝わる歌。
エミリア・ジョーンズの歌声には求心力があって、オープニングから惹きつけられる。
手話がこれ程、多彩で様々な感情を表現できる言語だとは思わなかった。
下ネタの比喩表現がすごい笑。
見える言語学びたいなと感じた。
主人公は自分以外全員ろう者の家族の中に生まれ育ち、小さい頃から通訳としての役割をしていた。
家族は漁師を営んでおり、金銭の交渉なども主人公がやっていた。
朝早くから漁師の仕事をしていた主人公は歌うことが唯一好きだった。
主人公は合唱部に入り、自分には歌の才能があると先生に伝えられ音楽大学を目指さないかと誘われる。
最初は迷うも、歌う楽しさからは逃れられずレッスンに通い始める。
母親に話すも、自分たちに聞こえないものが好きだなんてと言われてしまう。
そんな中、漁師たちは仲介業者ばかり得をする今の仕組みに嫌気が差す。
主人公の父と兄は組合を立ち上げ、漁師たちに相応の稼ぎを得られるように奔走する。
事業は上手く行き始めるも、いまだに主人公に頼りっぱなし。
レッスンに事業の仕事と、次第に両立できなくなっていく。
レッスンも遅刻を繰り返し、先生にもう辞めろと言われてしまう。
自分は今まで家族抜きで行動したことがないと泣きながら打ち明ける。
そして家族に、自分は音楽大学に行きたいと告げる。
しかし家族は反対する。
今いなくなられたら、事業はどうなると。
通訳としての自分しか必要とされていないと感じた主人公は、翌日の漁を休み、デートをする。
幸せな時間を過ごす主人公。
しかし、漁では問題が起こる。
その日は初めて監視員が同乗する日だった。
監視員は違法な漁や危険な行為をしていないか、監視する者だ。
監視員はろう者の二人の仕事ぶりを見て、とても危険だと判断し通報する。
罰金として今の自分たちにはとても払えない額の支払いを命じられる。
父は船を売ろうとするも、主人公が自分が同乗すれば問題ないと言い、夢を諦めることを決意。
兄はそんな主人公の決断に怒る。
家族の犠牲になるな。と。
合唱部の発表会の日が訪れて、主人公は歌を披露する。
家族たちも見に来るも、何も聞こえないから何も感じない。
周りが拍手したら拍手をし、立ち上がると立ち上がる。
手拍子もズレた手拍子をする。
しかし、主人公が彼氏とのデュエットを披露する。
無音の時間が流れる。
周りの反応を見る家族。
泣いている人の姿。
音を超えた歌が聴こえる。
家に帰り、自分の為に歌ってくれと主人公に頼む父。
喉に手を当て振動を確認する。
家族は主人公の夢を応援する決意をする。
家族総出で試験に臨む。
楽譜を忘れてアカペラで歌いそうになるも、先生が駆けつける。
最初は緊張で声が出ない。
こっそり客席に侵入した家族を見つけ、家族に向けて歌い始める。
歌は伝えるもの。
手話を交えて歌い切る。
そして見事合格。
家族たちも自分たちだけの世界にとどまらず、他の世界とも交わり始める。
主人公も新たな世界と向き合うスタートを切る。
聴覚障害には聴覚障害の世界があり、健聴者には健聴者の世界がある。
でもそれは耳の聞こえる聞こえないに関わらず一人一人に一つ一つの世界が在る。
自分と他者の世界は違うこと、見え方も捉え方も考え方も違う。
だからこそ考える、向き合って知ろうとする。
自分の世界を伝え合う。
歌うのが好きな主人公は合唱部に入る。