四人家族で唯一の健聴者である娘、つまりcodaの話。良作でした。ティッシュ使い切ってハンカチまでびったびたになりました。
生まれた時から3人の家族の通訳として家業にも関わり、頼りにされ期待されている。そして家族は仲良しで愛し合ってる。でもそれと自分の人生を捧げるのとは別の話。17歳でその選択を迫られるってなんて酷なんだろう。
家族の愛は時として残酷で、簡単に支配されてしまう。そしてこんな風に選べなくて、家族に巻き取られる人生を選ぶ人もたくさんいる。選ぶことでその責任を負うくらいなら、って気持ちもわからなくもない。
現実はこんなキレイな話じゃなく、コレはファンタジーだって言う人もいると思う。でも、今作はわかりやすいモチーフとして聾唖を取り扱っているだけで、本当はいつだって未来へのドアは開いていて、ただ出ようとしていない人ってたくさんいる。そういう人のきっかけにきっとなる作品じゃないかなと思った。勇気がいることだけど、誰だって自分の人生は自分のものですよね。
そしてあの女の子の声。「若さ」を声で表現したらこうですよね、という感じ。まっすぐで汚れがなくてみずみずしくて繊細で、いい声だったな。この子を見つけた時点でこの作品は勝ち。あと、実際のろう者の俳優でここまでの作品が作れるって、俳優の層の厚さに驚かされた。参りました。お父さんほんといい味出してました。
ツッコミどころがあるとすれば、音大の試験は実技だけじゃないってとこかなw。
それにしても「あいのうた」って、超センスないよなぁ…。邦画あるある、なんとかしてほしい。