野崎智也

コーダ あいのうたの野崎智也のレビュー・感想・評価

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)
4.8
映画館で鑑賞すれば良かったと本気で後悔した。
何より音楽の使い方が素晴らしかった。
絶妙なところでI Fought The Lawが流れたのにはニヤニヤしてしまった。しかもほぼ全コーラス。

ストーリー展開はベタではあるのだが、よくある健聴者多数の中にろうが1人ではなく、ろうばかりの家族の中に後から生まれた健聴者が1 人という設定ならではのシーンが沢山あって、ひと味違う感じがした。
(手話で口喧嘩?とか斬新!)
ルビーが愛おしいのなんのって。

勝手に、かなり貧困な主人公が歌でスターになって行くようなもっと壮大な物語かと思っていたが、小さなコミュニティの中の物語だったのがとてもリアルで刺さった。

出てくるキャラがみんな良い。
両親は冒頭10分ぐらいのやり取りだけで好きになれる。
兄貴は何だかんだでナイスガイ。
V先生がめっちゃ優秀。

青春映画アレルギー者としては、キラキラしすぎていないし、とことん暗い訳でもない、とてもバランスが好きな作品でした。

ルビー役の俳優さんは本当に凄い。
今の日本で言うと、強いて言うなら山田杏奈的な感じかな。
今後も追いかけていきたい。


2023.6.17 追記
(※ネタバレでは無いと思うが、未鑑賞の方は注意)

たまたま金ローでやっていたのを再鑑賞して、どうしても残しておきたかったことがあったので追記。

ママがルビーに発したセリフに、
「あなたを妊娠した時、聾者であれと祈った。
聾者じゃないと分かった時、ガッカリした。
分かり合えないような気がして。」(ニュアンス)
というのがあって、とても素晴らしかった。

例えば男か女かとか、若者かおじさんおばさんかというのと、健常者か聾者かは変わらないという強いメッセージに感じた。
1度目の鑑賞時は分かりやすい名シーンばかり印象に残っていたので、再鑑賞して新たな発見だった。

こうゆう発想の人が少しでも増えると良い。
野崎智也

野崎智也