cascade

コーダ あいのうたのcascadeのネタバレレビュー・内容・結末

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

始まりから広大な海に出迎えられ、一気に引き込まれた。海水のあの特有の香りを自然と思い出しました。

最後の手話はなんだろう???と調べてみたら、家族がI love you.ルビーがI really love you.だった。もう………これが全てを物語っていると思う。

愛する歌への想いと、今までのように家族を助けたいという想いが互いに干渉して上手くいかないという状況。波打つルビーの感情がこれだけ繊細に伝わってくる演技はすごい。

家族の愛ゆえに葛藤するけれど、家族への愛と、家族からルビーへの愛がオーディションでのあのパフォーマンスを導き出す。
ルビーには、愛する家族がいる。届けたい人がいた。壇上で披露した「Both Sides, Now」にのせた歌詞が、ルビーが歌いながら手話を始めると色彩を纏うようでとても素敵だった。

個人的なハイライトは、自分のためにもう一度歌ってとお願いしてから喉と脈に触れ娘の歌声を全力で感じようとする父。ボロボロ泣いた。その方法があったんだね。
後で知ったことだが、これはトロイ・コッツァーの実体験らしい。

娘に無償の愛を送る母、妹に自分の道を歩んでほしい兄。家族の温かみが肌を伝い、この映画を包んでいた。

そして、クセの強いMr.V!当たり前にアウトなはずなのに、ちゃっかり仕切り直していて好き!!(笑)才能に気づいたうえに生徒想いなキーパーソンだけど、言動にいちいち笑ってしまう。良いキャラ。素敵な人。

ルビーが歌声を解放していくとき自然と手話が出てきたり、手を合わせて大声を出したりするシーン。発表会で無音になり家族と同じ目線に立つシーン。こちらに気づきをくれる演出に、感嘆しました。

切実に観て良かったと心から思えた一本だった。
評価される理由が分かる。
cascade

cascade