最近のアカデミー賞は基本敬遠してるんだけど、脚本と演出と演者が見事に噛み合った傑作だった。
まさに文字通り、多くを語らず雄弁に語る。
秀逸だと思ったのはまず、おそらく意図的な兄の自立への読者のミスリード。兄は一貫して自立を訴えていて、むしろ変わったのは、ろう者の自立についての主人公と"視聴者"のスタンスであり、それが絶妙な伏線になってる。
そして最後の歌。音楽経験についての問い、少しの"間"と、家族、そしてあの歌。その"間"に"音楽と自分、CODAである自分"を当てはめると、このストーリーがあまりにも美しく完成するのではないかと感じた。多分偶然ではないと思う。
最後に、全人類が言いすぎてすでに陳腐化してると思うが、あの無音のシーン、あまりの秀逸さに鳥肌がたった。これがまさに映画体験だ。