こりゃあ良いものを観た！！
邦題が悪い！邦題のサブタイトルのせいで御涙頂戴が大前提の映画という印象を持ってしまっていて嫌厭していました
表面上はヤングケアラーの問題の可視化だとか、聴覚障害を持つ人々とその周囲の人々の問題を映画を通して訴える、という作品なんですが、それらに要約してしまってはいけないぐらいよくできています
上記の問題と「聴覚障害」や「CODA」というテーマは、ルビーと彼女の家族がこれまで留まっていた次元や図らずも執着してしまっていた場所から上方へと昇り、人間として、そしてそれぞれの関係として成長する物語、あえてチープな表現をするのであれば「一皮剥ける」物語を、所感、うまく描くためのメディア（媒体）でしかないのですが、それが、これでもか！というくらいに非常に洗練されていて非常にうまく機能している。
ルビーの高校での発表会で、家族の「視点（聴、点？）」を代理的に味わせるために音声を殺すシーン→そしてそれを感じたい、（ルビーという存在自体を）理解したいという気持ちでお父さんがルビーの喉元に手を添えるシーン→そして音大の実技入試で、そうして彼女の家族と通じ合えたルビーが徐々に手話で歌とその意味を伝えるシーン。
仮に当事者であったとしても、構想があったとしても、こんなに綺麗で器用な展開・演出ができますかね、普通。
この展開を実現するためには、だからこそ、「聴覚障害」・「CODA」という問題や構図、あるいはキャラクター設定が必要なのであって、絶対にそうでなければならない理由がこの展開に全て詰まっている。
いやぁ、よくできている。と思ってよくよく調べたら、作品名聴いたことあるなぁとは思ってたけど、一昨年のアカデミーの作品賞取ってたのね。そりゃ完成度高い訳だ。こういう評価の仕方でいいのよ、アカデミー賞。
Billy Elliotも似たような構図だけど、こっちが良過ぎるなぁ
久々に素晴らしい映画を観たので、クソ長真面目レビューしてしまった、お粗末・・・
