こめこ

コーダ あいのうたのこめこのネタバレレビュー・内容・結末

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

前評判通り、とても良い映画だった。伝えたいテーマも、俳優陣の演技も、流れる音楽も、発表会の無音シーンをはじめとする演出も、全部全部「良い」。
でも、私の中になんともいえないモヤモヤが残ったのも事実。ルビーには歌の才能があって、受験も成功して進学することができたけど、両親(とくに母親)が娘に依存している根本的な問題が解決していないからだ。「耳が聞こえない子が良かった」と言われて、あんなに冷静でいられるルビーを尊敬する。それとも諦めてしまっているのか。これまでどれだけの気持ちをおしころしてきたのか。兄が妹を頼らず自立しようとしているのは救いだけど、途中まで両親はあくまで「自分」が中心で、ルビーの幸せなんてこれっぽっちも考えなくて。ラストにかけての送り出すシーンは愛に溢れていたし、家族が大切なことは間違いないんだろうけど、ルビーを「便利に扱ってきた」ことへの反省もなく、むしろルビーの方が「送り出してくれてありがとう」となるような雰囲気で結末を迎え……ルビーの未来を思うとどうしても胸が苦しくなってしまうのは、私の考えすぎだろうか。
こめこ

こめこ