大一

劇場版 呪術廻戦 0の大一のネタバレレビュー・内容・結末

劇場版 呪術廻戦 0(2021年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

なるほど、これは原作の映画化としても一つのアニメ映画としても成功した作品だ。
 原作自体はアニメを見て、本誌も流し見程度に大まかなストーリー把握くらい。0巻は全く初見の状態で鑑賞。
 まず、劇場版として良かったのは呪術廻戦の世界観に触れながら、解説が必要なほど難解な話は含んでいないところ。呪いを払う「呪術師」の説明をさらっとしながら、あとはリカちゃんに呪われた乙骨をメインに話が展開し、乙骨はリカの呪いを払うことができるのか?という部分に焦点が当たる。そのため、原作の中で使用される呪力や術式展開、反転術式などは用語として使われるものの説明を必要とはしない。だからこそ、本作から見る人でも内容が分かり、原作を知っている人は先の展開も頭に置きながら見ることができる。
 次に良かったのは話の展開の仕方である。本作の始まりとして、呪われた転校生乙骨が登場し、彼自身の説明が導入になっている。そしてそこから仲間たちとの出会いと修行を同時進行で描き、関係性が深まることでキャラの魅力が伝わり乙骨と鑑賞者の気持ちがリンクしていく作りになっていた。飽きることなく物語が展開していき、最後にはメインとなる夏油の登場から闘いを描く。2時間の劇場版の中で出会いから成長、そして巨悪との対決まで描き切るという素晴らしい脚本。個人的には解説はせずとも黒閃を入れてくるあたりが鳥肌ものだった。
 「愛」という呪いをテーマに描いたこの作品は2021年ラスト、そして2022年始まりのアニメ映画としてふさわしい作品だと言える。
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