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コットンテールのエスのレビュー・感想・評価

コットンテール(2022年製作の映画)
4.8
#コットンテール 鑑賞


学生時代に
オックスフォード大学と
早稲田大学で日本映画を学んだ
パトリック・ディキンソン監督が
自身の母親を看取った経験を基に
描いた作品
.
.
妻に先立たれた主人公が、
イギリスのウィンダミア湖に
遺灰を撒いてほしいという
妻の遺言を叶えるため
疎遠だった息子親子とともに
イギリスへ旅立つ家族ドラマ
.
.
「イギリスにある「ピーターラビット」発祥の地に遺骨を散骨してほしい」

家族が誰も知らなかった
妻・明子の願いを叶えるため
舞台は日本からイギリスへと
変わっていく

旅の途中で映し出される
妻との出会いから別れまでの回顧は

夫・兼三郎が不器用ながらも
妻を深く愛していたということを
映し出していく

夫婦でいれば
倦怠期もあるし

明子の認知症によって
老老介護へと突入

老老介護から、
明子が亡くなる前までも
兼三郎の行動に愛の深さを
感じられずにはいられなかった

そして不器用さゆうに
息子と上手く関われない父親に
寄り添おうとする息子

イギリスのシーンは淡々なようで
兼三郎が妻を失った喪失感を
強く感じて美しい景色にも
目を奪われます

そしてラストの
妻を助けてやれなかったと
涙を流す兼三郎と

お父さんが助けてくれると息子に
伝えていた明子

夫婦それぞれの絆の強さと
そこに親子愛も感じてしまい
涙が止まりませんでした

ラストでは
父が息子親子に心を開いていき
明るい未来を想像できるシーンに
グッとさせられます

リリーフランキーさん、
錦戸亮さん、木村多江さんの
演技は圧巻! 

そして兼三郎と明子の若い頃を演じた
恒松祐里さんと工藤孝生さんは
雰囲気も含めて世界観を崩してなくて
素晴らしかった


老老介護のシーンは
特に他人事とは思えず
いざ、その時が来た時
兼三郎のようにできるのかと
私自身突きつけられるものでした


昨年開催された
第18回ローマ国際映画祭では
最優秀初長編作品賞を受賞した本作

海外の監督だからこそ
この繊細な雰囲気を
出せたようにも感じ
パトリック監督
初長編作ということで
今後も注目したい監督となりました。
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