エス

ミッシングのエスのレビュー・感想・評価

ミッシング(2024年製作の映画)
4.7
主人公・沙織里(石原さとみ)の娘が失踪した3ヶ月後を中心に2年後までの様子が描かれている本作

愛する娘が行方不明になった夫婦と
取材を続ける記者の葛藤
そして報道の影響で
疑われる沙織里の弟や
SNSによる当事者家族への攻撃
とにかく物語は終始重くて胸を抉る


女児行方不明事件を通して見えてくるのは、当事者家族の悲しみや辛さだけではなく報道の在り方と視聴者の先入観によって、匿名で被害者を攻撃する人間の恐ろしさをリアルに映し出していき現代の情報社会で実際に起きていることそのものが描かれていた。

石原さとみさんは出産後、初となった主演作で子供が行方不明になった母親役を演じている

不安と心配と見つからない苛立ちと悲しみと辛さがリアルに伝わってくるほど熱演しており愛する我が子が行方不明になたら…という母親の立場を自分と重ねて観てしまうほど終始、感情移入してしまった

そして、どんなに辛くてもしっかりしなくてはならないと頑張る夫の豊(青木崇高)が時折、静かに涙するシーンは観ていて本当に辛いものでした。

どうにもならない現実の中でもがき苦しみながらも周りの優しさに触れるシーンもあってそれらが唯一の救いに感じた作品。

日本では9才以下の行方不明者が届け出があるだけでも年間1000人以上いると言われている。

そのうち何人の子供達が見つかったかは分からないけれど自分の子供だってもしかしたら事件に巻き込まれるかもしれないそんな世の中だ

過去の報道を含めても未だに見つからない子供達が多くいる現実

この作品のような経験をしている人がいるということを多くの人が知るべきだと思う

そしてどんな時でも、人に寄り添える優しい世の中になることを祈るばかりです
エス

エス