様々な前情報を遮断し、期待値ゼロでみた。キューティーハニーのようになって欲しくないと願いながら。
結果、オリジナルの仮面ライダーをなぞりすぎた故に今の時代に合わないところ、逆に変えたところはモヤモヤし、例えばエヴァのゼーレのようなショッカーの思想は、どこか腹落ちせず、正直に言ってキューティーハニー並みのつまらないものになった。
素晴らしい俳優陣やライダー、サイクロン、オーグのデザインがとても良いのにどこか薄っぺらい。湧き上がってくるものが無かった。
庵野監督お得意のカット割りの連続がなぜか繋ぎがわるく、下手なDJのようだった。編集は得意中の得意のはず。場面転換が恐らく昔の特撮ものを踏襲しているのか、今の時代に合わない。どうしても突っ込みどころが目立ってしまう。最近見た「ボーンズ・アンド・オール」のカット割りが良すぎたせいで粗が目立ってしまった。
アニメの手法を実写に持ってくるやり方は、昔の頃から変わってなく、今はチェンソーマンのように実写ぽいアニメがみんなの気分なため、逆に今回のシン・仮面ライダーはドラマチックな実写ならではのリアルなものが見たかった。シン・ウルトラマンでも多用された棒読み演技は、仮面ライダーでは合わない気がする。テンポが違う。仮面ライダーはスピード感が欲しい。
「Air/まごころを、君に」で終始口が塞がらなかった衝撃、「新エヴァ序・破」の熱量、「シン・ゴジラ」の映画的なクオリティ、これらを超えるものを勝手に期待してしまった。
ヒーローものは日本が得意とするコンテンツ。マーベルを超えて欲しい。ノーランがバットマンを昇華させたようなものが見たかった。
周りが商業的に作り上げているであろう庵野ユニバースからは一旦はなれ、また「式日」のような観客など無視した、庵野流に言えばパンツを脱いだ庵野秀明の実写映画をもう一度見たい。
