スコセッシフォールド全開

シン・仮面ライダーのスコセッシフォールド全開のレビュー・感想・評価

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)
2.2
『シン』と付いているから期待したけど、昭和(知らないけど)リスペクトが過ぎていてただダサかった。リメイクではなく、リブートが見たかった。
SHOCKERがどのような組織か、意味不明な単語でもって何度も何度も説明してくるしつこさは良かった。ただ秘密結社なのに隠そうとしない大胆で奇抜な集団。ヤバそうなウイルスをヤバそうな見た目の施設でヤバそうな奴らが培養している。事実上の世界転覆を目的とする危険すぎる存在に日本政府、公安がなんの対策も講じてこなかった前提が入ってこない。緑川ルリ子は分かるが、仮面ライダーと協力関係になる必要性が見えないし、やっぱりそれだけ政府の人間が、人やヘリ、武器使用の権限を持って自由に動けているのが話を進めていく上でノイズになる、違和感を強める原因になっている。しかも人間兵器が政府の犬になるヤバすぎるオチなのも恐ろしく、余計に謎な展開だ。
SHOCKERを殲滅する目的、構成上仕方ないんだけどオムニバス的怪人対決どれもドラマに魅力がないので、アクションが面白くないことも相乗で、どんどん興味を失っていく。〇〇オーグ達に奇襲をかける形の戦術なので敵の悪行のあれこれを見ずにバトルが始まってしまうのでノレない。実態が不明のまま、SHOCKERに所属をしていたという事実だけで罰せられてしまう。雑な脚本、都合の悪いのは見せないところ、尺的に、資金的に、TVシリーズクオリティをここで踏襲されても、となる。

カットかけ過ぎなアクション、アップし過ぎなアクション、雑な3DCGアクション、アニメなら映えそうなアクション、暗すぎる中でのアクション(ハチオーグ戦、トンネル戦、チョウオーグ戦)。ヒーロー映画として肝心なアクションで全然満足できてないの駄目駄目じゃん?
クルリンパが都合良すぎてズルすぎる。お金がない仕方無しの撮影技法なのに、あなた達がやってどうする。
小屋の爆破シーン、解像度の悪さが気になる。iPhoneで撮影したとかのレベルじゃなくない?これが『仮面ライダー』リスペクトってこと?分からない。
池松さん、壮絶な過去を持っていたにしても棒読みすぎやしない?他のキャラ達の喋りはそれなりに抑揚はあったと思う。他人行儀感のある事務連絡、補足説明描写で棒読みになるのは仕方ないし、むしろそれでいいんだけど故になぜ、と思ってしまった。


良かったとこ
誰かを守ろうとする行動に
ツンデレの境地、不意に見せる弱さ。これが見たいんだろ?これが。浜辺美波が結局全部いいとこ取り。
クモオーグのパンチ・キック回避(変態プレイ)好き。喋り方もジワジワ殺しにくる感じもいやらしい。
流血に留まらず、顔を胸を潰す暴力的な仮面ライダー新鮮。
2号の『いいね』でラーマと和牛思い出した。
英単語だけネイティブになるKがくすぐられる。
ヘルメットにそのまま継承。ずるいけど良い。

警察が、自衛隊が、世界が動く。過去2作の傾向的に、シン・ジャパン・ヒーローズ・ユニバース(実写)は政府主体のワチャワチャを見れる、ドラマは二の次のそれ、だと勝手に思っていて、無さそうで有りそうなリアリティを提供する、その中二病心を擽れる感覚が好きな自分としては、今回のコスプレ大合戦はタイプではなかった。サソリオーグの"駆除シーン"みたいなのが見たかった。呆気なかったけど。
書いていて思うのは『シン』に変換不可なのが仮面ライダーの良いところというか、あの時代のあの低クオリティだったからウケたわけで、わざわざ現代に複雑化して蘇らせることがナンセンスということを知った。