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シン・仮面ライダーのTheylivebynightのレビュー・感想・評価

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)
3.4
金曜夜、雨でも賑わうバルト9。予告編の並びに唸る。アクロス・ザ・スパイダーバース→シティハンター→ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー→マリオ→TOKYO MER→コナン→プリキュア→アイナナ→禁じられた遊び→聖闘士星矢。いま世の中が観たいと、映画会社やクリエイターが考えるのって、こういうラインナップなんだ(企画→公開の時差はあるにせよ)。もちろん、それが良いとも悪いとも思わないけれど。

ドキュメンタリーもあえて見ず、予備知識のないまま本編。ルックが明らかに違う広角レンズカットが挟まりながら、血飛沫舞うアクション(カメラとレンズの種類は気になるので調べたい)。約束の文法を踏襲しつつ迫力もあったが、考えてみたら、文法の約束を守らないと、フリースタイルで世界と勝負しなきゃいけないので、当たり前なのか。
終始虚ろな池松壮亮(セリフの演技が誰かに似ていて、ずっと気になって、だけど最後まで思い出せなかった)、立っては寝転ぶ浜辺美波、爽やかな柄本佑は、皆よかった。森山未來は、このまま一手に異形の役どころを引き受けていく気がする。

物語には入りこめないまま。庵野さんの作品は解釈したい欲望を惹起して今回もあれこれ考えながら観ていたが、一向に盛り上がらないので、次第にどうでもよくなってしまう。顔見世興行的オーグリレー。竹野内豊、斎藤工は、一番大事なところで助けに来ない。いつまでも引きずる親の喪失。決め台詞は至極説得力がないが、役者の問題じゃない。全てが池松壮亮の虚ろな表情に収斂するのだといえば、それは頷くしかないが、映像には想定せぬ何かが映ってはいるものの、いかんせん断片的で、微弱だった。
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