ogo

シン・仮面ライダーのogoのレビュー・感想・評価

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)
3.2
庵野秀明監督『シン』シリーズ三作目(『シン・エヴァ』入れたら四作目か)

『仮面ライダー』自体は子供の頃にTVでちらっと観てたかな?くらいの知識量。基本設定と主題歌くらいは知ってるレベルの初心者目線。

結果、心は無風。

『シン・ゴジラ』はめっちゃ好き、『シン・ウルトラマン』もそれなりに心に響くものはあったけれど、今作は終始無風でした。

何だろう、特撮ってその時代の最先端だったわけじゃないですか。その当時の技術と予算で、いかに子供心のワクワクを掻き立てる物語と画を撮るかという工夫の賜物。そこに観賞者の想像力の補完はあれど、やっぱり観たことのない新しい体験が格好良く展開されるからこそ、皆夢中になって観たのだと思う。

もちろん、過去作を愛する人々、過去作を創り上げた人々への愛を込めて、郷愁や懐古的な描写はあってしかるべきと思う。

のだけれど、今作のアクションシーンやプロットは、現代に生きる人々へ届けるための新たな作品として、果たして本当に効果的な選択だったのだろうか?

過去作を知らない立場から観ると、懐古主義的な目線は皆無なので、比較の対象はMARVELやDCを筆頭としたアメコミ系になってしまい、それらと比べると、非常にチープかつシュールに感じてしまうシーンが多かった。言葉を気にせず言ってしまえば、終始コスプレ感が否めず、映像が物語への没入を阻害する、本来特撮が持っていた意味合いを逆転させてしまっている様なきらいさえ感じた。

端々に庵野監督らしさを感じるカメラワークや人類補完計画的な観念はあって、楽しめる部分もあるのだけれど、一つの作品として全体を振り返ると、もっと違った「新しさ」を観てみたかった気持ち。

序盤から血がぶち撒けられる人体損壊描写は、「人では無い」仮面ライダーのリアリティを感じて期待したのだけれど、中盤からは動きも解像度もチープなCGばかりになってしまった。

今作に初めて触れた人々が、庵野さんが昔に感じたような感動と興奮を果たして持つのか。疑問符が残る。

それでも、柄本佑と森山未來の存在感と演技で、随分と中盤以降は没頭できた感。顔すら見せない松坂桃李に大森南朋、顔出てるはずなのに全く気づかなかった仲村トオルに安田顕、一瞬で退場する長澤まさみに、ヒゲ二人組の竹野内豊に斎藤工、役者陣の豪華さという楽しみはあった。
ogo

ogo