ソラアユム

そして、バトンは渡されたのソラアユムのレビュー・感想・評価

そして、バトンは渡された(2021年製作の映画)
3.6
題名:そして、バトンは渡された
鑑賞日時:2022年11月12日
鑑賞方式:NETFLIX
評価:3.6(MAX5.0)

『俺らのバトン、しっかり受け取れよな。』


2022年186本目

【良】
・永野芽郁の透明感
 彼女の出演している作品を拝見したことがあまり無いのですが、透明感や清廉潔白で純粋無垢な雰囲気を目の当たりにし、改めて魅力的な女優だと感じました。

・2つの物語で引っ張るドラマ
 小学生のみぃたんの物語と高校生の優子の物語がどのように繋がるのかという所が話の推進力になっています。2つの物語の接続詞を探す前半、親巡りと梨花の失踪の原因に迫る後半で引っ張る作劇が見事でしたね。全編に渡って謎が散りばめられていて、退屈はしなかったです。

【悪】
・梨花の偏愛
 石原さとみ扮する梨花の秘密がラスト30分で明かされます。梨花の諸事情が分かり、今までの行動の真意が明らかになりますが、凄く手前勝手で良い話には到底見えなかったのですが…。梨花の事情を理解できる部分もありますが、複数の男性を股にかける軽い女としての評価が覆るところまでは全然行きません。母の愛というより偏愛(もっというならエゴ)に近く、純度100%の感動話とするのには、あまりにも危ういバランスな気がします。

・親側の描写をもっと入れるべきでは
 梨花はラスト30分まで謎の行動をとる人物として描かれているため、中々感情移入ができません。かといって、描写し過ぎるとサスペンスとして成り立たなくなるので、感動話に持っていくのにはそもそも無理があったのかなと。物語の構造上の欠陥と、話の性質が旨く噛み合わっていないと感じました。それから、父親側はもっと、梨花に出会ったことで人生が好転したという結果を強調して描くべきだったと思います。台詞では色々言っていますが、傍から見ると、利用されて、振り回されているようにしか見えませんから。

【総評】
 梨花のエゴを娘の優子が甘やかし、無償で赦していく話にどうしても見えてしまい、美談として語るのは少し引っかかる部分がありました。手紙の件は父も娘も梨花に怒っていいのでは?


以上