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ストレイ 犬が見た世界のmanamiのレビュー・感想・評価

ストレイ 犬が見た世界(2020年製作の映画)
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主題は犬。主人公は犬。でも重きを置いている出来事はやはりそれを取り巻く人間だと思った。

Stray dog(野良犬)の殺処分が禁止されている街、イスタンブール。人々の日常に当たり前のように紛れ込んでいる野良犬。道行く人の中には頭を撫でて行く人も、追い払う人もいる。

ボロい工事現場で寝泊まりする青年たち。手には袋。言葉にされるまでなんの袋かわからなかった私はきっと、守られた世界で生きているのだと思った。

犬たちの目線で映される映像は外国の街並みの現実感のなさに、より拍車をかけていたように思う。所々聞こえてくる深刻な話し声や叫び声も、あまり深入りせずに過ぎ去る。

ドキュメンタリーなのにサラッとした中身で、観ている間は気が重い。不思議な作品だった。

途中で度々挟まれるDiogenesの言葉がなんとも刺さらなくて困った。

そして本筋とは関係ないが、ここまで犬も人もカメラを気にしないなんてことがあるのかと思った。あと、チェチェンと言われてみかんの丘を思い出した。
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