三宅唱が無言日記を撮り始めた時期は明確に『Playback』よりも後だが、『Playback』の都内から水戸へ向かう道のりのカットの連なりと観客の視線の誘導は本当に素晴らしく、誰もが見慣れた都心から郊外への道のりが、説話と相互的に作用しながら、リズムと空間移動の景色の変容をフィクショナルなものとして感じられる気がしてくる。車内の移動ショットの連鎖をここまで的確に捉えた現代日本映画は青山真治『名前のない森』以来ではないか？
『無言日記』を『Playback』の空間移動の手法の延長戦として単なる記録映像ではなくフィクションとしてのモンタージュだと捉えて見てみたら面白く感じるのかもしれない。
