荒野の狼

アビゲイル・ハームの荒野の狼のレビュー・感想・評価

アビゲイル・ハーム(2012年製作の映画)
4.0
説明しようとして、かえってわかりにくくなっている。
比喩と擬人化で出来ている西洋の「童話」と違って東洋の「お伽話」というのは解説しちゃうと壊れてしまう。それはたとえ話じゃなくて、実相だからだ。しかし、映画はどちらかといえば童話だから、まあこういうのもアリか、な作品である。
「ヒントは出した」と監督は言う。
「ヒントじゃなくて、答えを言えよ」と観客はイラつくかもしれない。
なあに、映画だもの、答えはもう出ている。
自分を自分たらしめているのは実は自分じゃなくて、私以外の他者である。人から付けてもらった名前で、自分というものが生まれる。自分で自分は名乗れない、その意味でハンドルネームや自称というのは、名無しと変わらない。
私たちはいったい自分というものを何によって自分であると認識しているんだろうか?愛か恋か、顔に当たる風か匂いか痛みか、音楽か?それともこの世か、ではこの世とは?失明しても在る世界、私が死んでも在る世界とは? 試しに、見ることを閉ざせば、自分と、あるいは世界と対峙できるかもしれない。
アビゲールは実は「あなたの擬人化」である。つまり、分からなくていい(笑)
三保の松原は、朝鮮にもあるんだな。
バート・ヤングが天女の舞の如く、抜群に上手い。
荒野の狼

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