Frengers

サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)のFrengersのネタバレレビュー・内容・結末

-

このレビューはネタバレを含みます

「ウッドストック」や「アメイジング・グレイス アレサ・フランクリン」とも並び立つようなドキュメンタリーだった。コンサートに没入するというよりは、当時の出演者や観客へのインタビューにより時代背景を2020年代の視点から立体的に浮かび上がらせるという形を監督のクエストラブは採用した。つまり現代において「ハーレム・カルチュラル・フェスティバル」というイベントを白人史/黒人史、もしくはアメリカの歴史の中にしっかり位置付けることを意識したつくりだと思われ、2010年代を通過した作品だと思った。
 ミュージシャンたちは全員かっこいい。しかし、大半のミュージシャンが自身の民族的ルーツに立ち返るか、神への祈りに殉じる中、ひと際輝いてみえたのは、そのどちらも選ばずに種族や性別を超え、会場にいない人にすら語りかけていた様だったスティーヴィー・ワンダーとスライ&ザ・ファミリーストーンだった。彼らの歌と演奏こそが、自分が英米圏の音楽に惹かれる理由なのかもと感じた。そう意味でもかけがえのない作品だった。
Frengers

Frengers