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サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)のukのレビュー・感想・評価

5.0
伝説のフェス ウッドストックが初めて開催された1969年。ウッドストックから約160km離れた場所でもう一つの伝説のフェスが開かれていた...

監督はこの作品で初めて監督を務めるクエストラブ。ザ・ルーツのドラマーであり、リーダー。

この作品はウッドストックと同時期に開催され、観客数も6週間(週1で開催)で30万人を動員したにも関わらず権力者たちに「歴史の一部にならない」と揉み消されてしまったニューヨークのハーレムで行われたフェス「ハーレム・カルチュアル・フェスティバル」に光をあてた映画である。
同時にこのエピソードから当時からいかに黒人が差別を受けていたかが読み取れる。
ブラックミュージック好きは必見。ビッグネームが数々登場し、音楽が持つ力を改めて再認識させられた。

このフェスは低所得者、貧困層に向けたフェスのため無料で行われた。
作中にも登場するが資金繰りで苦労したようだ。しかし、主催者トニー・ローレンスの努力と当時のニューヨーク市長ジョン・リンゼイ(白人)により開催が実現。

そして、歴史的背景も描かれる。
ケネディ大統領暗殺から始まり、マルコムX、キング牧師、ロバート・ケネディ(ケネディ大統領の弟)と次々と黒人コミュニティに関心のある人物が暗殺され、黒人たちは政府はもちろんのこと神への信仰すら失われつつあった。そんな黒人たちを勇気づけ、今こそみんなで手を取り合って進んでいこう。という目的のもと開かれたこのフェスは、その目的に賛同したミュージシャンたちとオーディエンスが一体となり革命を起こした出来事となる。

個人的にはスライ&ファミリーストーンのスライがカッコ良すぎた。
スーツ姿が主流のグループファッションの中、自由なファッションでステージに立ち、当時少なかった黒人と白人混合のグループ。常に革新的だったシーンの異端児。革命を象徴するバンドに映った。「Everybody People」の歌詞が最高。

神への信仰にも優った音楽の素晴らしさが全編を包んでいる。
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