このレビューはネタバレを含みます
こんな作品があったとは。
それぞれのリアルな人間らしさというか、隠していた本音がぼろぼろと出てくる瞬間が見どころであった。
小夜は復讐の為に忌々しい地元に戻り、自分を不幸に貶めた布施野を同じような目に合わせようと計画する。
彼女の怒りのシーンも鬼気迫るものがあったが、恐怖や悲しさで声を出して泣くシーンで胸が締め付けられる。
突然戻った小夜に対し、心無い言葉を放つ人々。
「あの事件のことを忘れればいいのに」と言われ顔を歪ませて涙を流す小夜。
「忘れ方を教えてよ」
地元の皆が知るあの事件、噂はきっと尾ひれがついてまわっただろう。
逃げるように東京に出て、まさかの姉の「あすみ」が事件の当事者と結婚をしようとしている…
あすみは小夜に対して嫉妬心を抱いており、この男なら小夜に盗られないという気持ちでいたが、布施野は罪を償う為に小夜のもとへ行ってしまう。
あすみの変化には一番驚いた。
終始感情が荒ぶることはなく、ただ優しい人という印象だったが彼女は誰よりも本音を隠し続けていた。
小夜と共に来た友達のエイゴに「素顔で生きるのしんどくない?」と渡されたメイク道具。
最後のシーン、あすみはエイゴに貰った化粧品で化粧をし始める。素顔を隠す為に。
個人的に一番よかったシーンはやはり「ナッツを投げつける布施野」だ。