垂直落下式サミング

キャメラを止めるな!の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

キャメラを止めるな!(2022年製作の映画)
3.0
山奥の廃墟でゾンビ映画の撮影をしていたチームに、突如として本物のゾンビが襲いかかる。撮影クルーたちのリアルなサバイバルの光景を見て、ホンモノ志向である監督は狂気のうちに大喜びするのだが…。
上田慎一郎の爆発的ヒット作『カメラを止めるな!』のフランス版のリメイク。監督したのは『アーティスト』のミシェル・アザナヴィシウス監督。
オリジナル版でプロデューサー役を演じた竹原芳子も、本作にマダム・マツダ役にて出演しており、言語の壁を越えてコメディレリーフを担っている。
リメイクはぶっちゃけ微妙。前置きのワンカットオブザデッドがダメだった。オリジナルは、あの廃墟の立地がすごかったんだと思う。それを、ただ単にベタな商業施設の跡地みたいなのにされると、凄みが減りますね。
さらに、リアルタイム長回しに興を削ぐ劇半がつくと、ほんとうに嘘臭くなるし、映像の色合いを加工しすぎるのもよくない。手持ちカメラがぐらぐらして、廃墟に台詞や足音が反響するあの臨場感がよかったのに…。
前置きにノレないから、そのあともノレない。当然と言えば当然だけれど、こういう前半前フリ後半タネ明かし系の最初の部分を「まあこんなもんか」で作ったらダメだ。オリジナルより10分以上もチンタラ長いのだし。ずっと平べったくて、歯切れのよさみたいなのがなくなってるし。
一回映画が終わって、もう一回舞台裏のはなしがはじまる基本構成はオリジナルに沿いながら、なんとなくお国柄とかを反映したギャグに溢れていて、本家とは違うテイストを感じられたから、作り直した価値はあったかなって。まあ、そんくらい。
構造だけ真似たらいいかって、カメ止めってそういう映画でしたかね?オリジナルのキモを、ほんとうに理解して作りましたか?