けんちん汁

ベネデッタのけんちん汁のレビュー・感想・評価

ベネデッタ(2021年製作の映画)
4.2
84の翁になってもバリバリのエログロ映画で世間を挑発し続けるヴァーホーベンの姿勢に脱帽すると共に、皆んなとはかなり違った角度で女性を題材とした映画を撮り続ける彼のエッジさに尊敬の念を抱ける傑作

実際に起こったシスターのレズビアン裁判を元に、実際に起こっていなかったであろうイメージを盛り込みつつ、しっかりエログロを混ぜて、しかし全くダレることなく観客を画面に引き込み続ける
彼は一貫として強かな女性を描いてきたが、今回もしっかりとその文脈で語ることの出来る作品

人間として当たり前に起こる性の目覚めと、極めて男性支配的な宗教体制批判。
ヴァーホーベンはその過激性ばかりがフィーチャーされるが、その語り口は非常にクレヴァなものである

またしっかりと画的な見せ場も用意し、映画としてもかなりしっかりとしている
思わず笑ってしまうアレな十字架すら後半に活きてくる話の妙にもはや感服してしまう

昨今上っ面なジェンダー映画が増えているが、本来こういった語り方をするべきだよなと今作を観て真剣に思った
男も女も生々しく生きている
これこそが真の男女平等だ
そういうことだろ?ヴァーホーベンのおじき