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べイビーわるきゅーれのEDDIEのレビュー・感想・評価

べイビーわるきゅーれ(2021年製作の映画)
5.0
阪元裕吾監督、この作品と出逢わせてくれてありがとう。
炸裂する怒涛のようなアクション、ちさと&まひろのタッグの愛おしさ、悪役ですら愛着が湧くキャラ設定。
1秒たりとも見逃せない、飽きが来ない。暑い夏すら麻痺させる圧倒的な劇薬!

最高すぎました!
そして一生推せる女優さんと出逢いましたよ。
主演のちさと役の髙石あかり。最高ですよ。

同じ阪元裕吾監督の『ある用務員』でシホ&リカという女子高生殺し屋の役で登場してたんですけどね。そのときは完全にシホ役の伊澤彩織に全部持っていかれてたんですよ。
私も今回『ベイビーわるきゅーれ』観ようと思ったきっかけは完全に伊澤彩織でした。

本作『ベイビーわるきゅーれ』では同じ高校生くらいの殺し屋二人組ではあるものの、『ある用務員』のキャラとは異なるちさと&まひろが主人公。
なので前日譚というわけでもなく、独立したちさと&まひろの物語なんですよね。

正直観る前はTwitterのTLやFilmarksの絶賛評を眺めながら、「まぁ面白いんだろうけど、みんな同調してるところもあるでしょ?自分はきちんと正当に評価するよ」と何目線なのかわからないスタンスで鑑賞に臨みました。

もうどっぷりのめり込みましたね。
冒頭からゆるい雰囲気で始まったかと思いきや、怒涛のようなアクション描写。
胸が高まりましたね!
このときは伊澤彩織目当てだった私の心はまだまひろ役の伊澤彩織でした。

そこからオフビートな日常描写がはさまれ、ちさと&まひろのゆるいやり取りや主にちさとの社会に溶け込むために努力するアルバイト描写を観ながら…あれ、なんかこの子めちゃくちゃ引き込まれるな、と。

それからは完全に沼にハマりました。

ちさととまひろが同時に映るシーンでも完全にちさと、つまり髙石あかりを見ていました。
なんて画に説得力のある目力なんだと。
殺し屋稼業に取り組むときは目つきが完全にプロのそれです。なのに日常描写やアルバイト描写に戻るとゆるいゆるい。
これがギャップ萌えというやつかと。

このときから髙石あかりに対して、興味から確信に変わりました。
もう「好き」だなと。

そして、作品としても2人に負けず劣らず悪役が魅力的。
ヤクザの親分、浜岡一平役の本宮泰風は『日本統一』など極道映画やVシネの常連俳優。強面のイケメン俳優ですが、本作ではいい意味で世間知らずさと愛らしさを出してきます。
現実にいたら迷惑極まりないやつなんですけど、こいつが作品の質をさらに高め、ドスの効いた怒号もありながら、いちいち可愛らしい一面を見せてくれる。
これもギャップ萌えですよね。
初登場シーンの理不尽さなんかたまりません。メイド喫茶のシーンも理不尽の最上級ですよ。

ほかにもラバーガールの2人や浜岡一平の息子かずき役のうえきやサトシ、娘ひまり役の秋谷桃音、メイド喫茶のメイド姫子役の福島雪菜、清掃業者田坂さん役の水石亜飛夢などなど、モブも含めて全員が魅力的すぎます。
これも阪元監督の演出の賜物なのでしょう。

極め付けはまひろ役の伊澤彩織と暴力団戦闘員の渡部役の三本雅芸のクライマックスの格闘シーンは瞬き一つ許されない激闘!
仮にオフビートな世界観にハマれなくても、このシーン観るだけでお釣りがくるレベル。

だけど、なんだかんだちさと&まひろの2人のやり取りが最高に好きなんですよね。
社会不適合者的に社会に馴染めなくて悩んだり、飽きらめたりするまひろも愛おしいし、それをそばで甘やかすでもなくだけどきちんと対話して見守るちさとの根本的な優しさにも心をやられっぱなしでした。
ちさとの魅力だけでもまだまだ書けそうなんですが、さすがにここいらでやめておきます。

もともとバディムービーが好きなので、正反対な二人組がすれ違って、色んな困難を乗り越えて結託していくっていうお決まりの流れがなんだかんだ好きなんです。
本作ではとある2人の歩み寄りのシーンで泣きそうになりました。
オフビートな雰囲気に笑わせてもらったり、壮絶なアクションに息を呑んだりすることは想定していましたが、まさか泣かされるとは思いませんでした!

2021年もまだ8月含めて5ヶ月ある状況ですが、言わせてください。

『ベイビーわるきゅーれ』今年ベストです!

※2021年新作映画109本目
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