しゆ

べイビーわるきゅーれのしゆのレビュー・感想・評価

べイビーわるきゅーれ(2021年製作の映画)
3.5
監督の韓国映画祭に関する発言(今は削除済)が指摘されてたのでどうしようか迷ってたけど、見たらおもしろかったしよかった。
アクションシーンは少なめだけど見応えあり。主演ふたりのアクションも◎。
「今どきはヤクザのしのぎも女性主体のビジネスだ」は笑えた。

裏社会やアクションバイオレンスと女、といえば王谷晶の『ババヤガの夜』が頭に浮かんだけど、まひろとちさともババアになるまでいっしょに生きてほしい。
そういう永遠性を感じられる“女と女”の映画だったのがよかった。

まひろ役の伊澤さんは現役のスタントなのか。動きがすばらしい。

女性を性的対象にする撮り方に意識的であるだけでなく、奨学金返せなくてお金ないメイド喫茶の店員とか、いろんな形で「社会的に搾取される女性」が出てくるのもよかった。

ただ「日本映画にしては」「思ったより」というバイアスが自分の中にある気もする。たとえばこの作品が『ブックスマート』くらい“これから”の若い女性像を描けてるかというと、それはないと感じた(監督は『ブックスマート』を参考に主演ふたりの会話シーンを書いたらしいが)。
ふたりが「ぜんぶ国が悪い」って愚痴ってるのとかはいいね、と思ったけど。

「自分たちを抑圧し搾取する社会に向けて銃を手にする元女子高生」という表象に、強者である大人(とくに男性)が欲望や願望を仮託するだけに終始していないか。そこからちゃんと脱しているのか(結局大人が「消費」できる範囲に留まっているんじゃないか)。
ということは、もうちょっと考えたい。
しゆ

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