カタパルトスープレックス

べイビーわるきゅーれのカタパルトスープレックスのレビュー・感想・評価

べイビーわるきゅーれ(2021年製作の映画)
4.6
ユルいバイオレンス作品を得意とする阪元裕吾監督が『ある用務員』でようやくちゃんと映画を撮りはじめ、その登場人物を再登場させて奇跡的に傑作になった作品です。

これは髙石あかりと伊澤彩織あっての作品ですね。阪元裕吾監督はあまりキャラクター造形が上手い監督ではありません。勢いだけでガーっとやってしまうため、役者が「一山幾ら」の特徴付けしかできない。ヤクザとか半グレとか、サイコパスとか。ダルそうな強キャラとか。しかし、本作の主人公であるJK殺し屋二人ははっきりとキャラクター造形ができている。お得意の「ダルそうな強キャラ」なのですが、阪元テンプレからはみ出している。それは髙石あかりと伊澤彩織の役者としての個性であって、阪元裕吾監督の演出の要素は少ないんじゃないかと思います。

相変わらずテーマも薄いし、ストーリーもヤクザ対殺し屋といういつもの対立構造。何が素晴らしいって(くどいようですが)髙石あかりと伊澤彩織です。『ある用務員』の後に本作を作りたくなる気持ちはよくわかるし、続編を作りたくなる気持ちもよくわかります。

髙石あかりと伊澤彩織抜きで傑作が作れたら阪元裕吾監督も本物なんだけどなあ……