TaiRa

こちらあみ子のTaiRaのレビュー・感想・評価

こちらあみ子(2022年製作の映画)
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あみ子の生命力(イノチヂカラ)が強過ぎて、残酷な話なのに落ち込まない。

オープニングから「映画」してる。子供がワラワラ出て来る校舎の観察。ちゃんとフィックスで必要なショット撮れる人。あみ子がのり君の習字見てとうもろこし落とすくだりなんて、サイレント期のエロス表現みたいで可笑しかった。あみ子=大沢一菜の超然とした佇まいに感動するし、彼女を観ているだけで満足出来ちゃう。あみ子から目が離せないという純粋な欲求から構成された映画。全体に漂う、生と死、性と暴力の香りに凄みがある。もろにバイオレンスが発動する場面も、やはり古典的記号描写で風情があった。どんどんと話が暗黒化して行く辺りで、マジカルな演出が混入してくるのも良い。何も分かってないようで、あみ子はちゃんと傷付いて悲しんで、「死」に惹かれているのが表現されている。何の宣言もなく映画から退場していく母親の喪失感も凄かった。中学に上がってからのあみ子は、ハッキリと小学生時代のあみ子とは違うのもになっていて切ない。坊主頭との放課後の場面は普通に大沢一菜の持ち前の女優力が滲み出ていたと思う。岩永洋の撮影・照明が美しかったし、ルックの作り方上手いなと改めて感心した。
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