ビクトルエリセじゃないが、本当に子どもの視界の内側に吸い込まれる感覚を得た。先入観なしの素人少女を敢えて起用し、極力演技をさせずにただただ台詞を棒読みで喋らせて身体を動かす。いつのまにか会ったこともないアミコにしかみえなくなる。デビュー作とはまったく思えない恐怖すら感じるほどの透明な演出に、自分の中のアミコが疼いた。この話、誰も悪い人は出ていないのだが、イノセントな暴力というのは本当に残酷だ。人間というか動物に近いこうゆう(新井英樹作品に出てきそうな)子、確かに1人くらいクラスにいたよなあ。卒業後、矛盾だらけの社会に溶け込まなくてはいけなくなったとき、この子はどうなってしまうんだろうか。彼女のこれからを想像するだけで惨い気持ちになる時点で映画として成功している。あのおばけたちをトトロにおきかえても成り立つだろう。子どもと大人と。一方的なトランシーバーというメタファーもすごい自然でよい。