これは、何とも…。
最初こそ、広島の美しい景色とともに、元気いっぱいの女の子が写し出され、長閑さを感じるが、徐々に、徐々に、この主人公、あみ子が、「風変わりな子」の範疇に収まりきらないものを抱えている事が、明らかになっていく。
悪い人が誰もいないにも関わらず、家族がじわじわと蝕まれ、崩壊していく様。むしろ、皆、善人であるからこそ、真面目に考え、受け止めて、逆に自分が崩壊する様が、数年がかりで描かれているところがキツい。で、またそんな自分に嫌悪感抱いて悩むんや。
家族のみならず、あみ子と接している、周囲の近しい子にも、それは同様。ノリ君…。
物語の核部、あみ子は、あみ子なりに母を元気づけたくてやった事が、逆にトドメになり、家族の暗転が始まる。
しかし、本人はそうなった事にもまったく気づいておらず、平常運転。
それを見たまわりの家族がどんどん闇の中へと突き進んで行く。
ラストの父の行動は、人それぞれ、反発や同情や様々な感情を抱くとは思うが、正解などどこにもない苦渋の決断である事は間違いない。
自身に重ねたとしても、どうすればいいか全くわからず、苦しみを感じる。
俯瞰で観てるこちらからすれば、非常に悲しい結果とはなっているのだが、逆にここでは、あみ子の状態が割と重めで、自身の状況に、悲壮感をあまり感じでいないかのような力強い眼差しに、かすかな希望を感じる。しっかりと答えた、その返答通りの未来であってほしい。
