のすけ

こちらあみ子ののすけのレビュー・感想・評価

こちらあみ子(2022年製作の映画)
5.0
保健室の件と、ラスト海をみつめるあみ子のシーンが痛くて痛くて、画面が見れなかった。


坊主の子、いい子なのかもしれないけどあみ子に優しい選択だったとは僕は思わないよ絶対に絶対に絶対に。

あみ子がありのままであり続けるのはあみ子の選択によってもたらされた結果じゃない。あみ子はそうする以外の生き方をまだ知らないんだよ。
坊主はそれを教えてくれなかった、それが何よりも絶望する。

"さみしい"とか"こわい"とか、一つ一つ言語化していく知能がないあみ子は、その"なんか嫌"な感情を全部いっしょくたにして輪郭のないもやもやとしてずっと抱え続けてる。

あみ子の手を取って、一緒にもやもやの輪郭をなぞってあげる人がついに最後まで現れなかったことがもう……ただ悲しい。





みんな「あみ子には伝わらない」って諦めるけど、あみ子に投げた言葉たちは伝わってないだけでずっと堆積し続けてる。

お兄ちゃんはきっとあみ子と対等に向き合いすぎた。
「あれはお母さんか?それともほくろか?あれはお父さんか?それともメガネか?そうじゃろ?そういうことじゃ」
あの頃のあみ子にこの言い方しても絶対伝わんないけど、海を眺める最後のあみ子には多分理解できる。このときやっとあの言葉をきちんと受け取るに足る堆積が積み上がったってのに、もう一度言ってやる人はもう誰もいないんだよね。


あみ子がんばれよ。今は誰にも愛されてないけど、でも一人でここまでこれたんだ。考え続けてる内に君はまた少しずつ愛されていくんだよ。
のすけ

のすけ