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スティルウォーターのukのレビュー・感想・評価

スティルウォーター(2021年製作の映画)
3.8
《真実》や《正義》。観る者の倫理観が試される社会派サスペンス。洋画だが邦画を観ている感覚を覚えた不思議な作品。全編通して派手さはなく、事件の真相と人間描写、主人公の成長と葛藤が描かれる。良い意味でアメリカらしくない映画。

大枠はフランスはマルセイユの大学に進学した娘アリソン(アビゲイル・ブレスリン)がガールフレンドを殺害した罪でマルセイユの刑務所に服役している。その無実を晴らすために奔走する主人公ビル・ベイカー(マット・デイモン)を描いた物語。

最近の映画で言えば邦画の「空白」を連想した。アリソンが起こしたとされるガールフレンド殺害事件。それから5年が経過したマルセイユが舞台だが、劇中で事件は当時世間を驚愕させた事件として扱われる。そして、劇中でもマルセイユ警察の腐敗した環境も描かれることもあり、世間はその事件について賛否ある状態。事件当日の空白時間が少しずつ明らかになっていく展開が「空白」を連想した。それと同時にアリソン、ベイカーなど登場人物の過去も少しずつ明らかになっていく。緻密に計算され構成されたストーリー展開に引き込まれた。
それと同時に主人公ベイカーの父親としての成長もマルセイユで出会ったマヤとヴィルジニーを通して描かれる。

最後は《正義》とは何なのか?誰もがこの部分を考えさせられることになるであろう作品。
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