人は故郷を離れたことで、はじめて知り得る景色がある。
その景色を知ったあとで故郷へ帰れば、故郷はどのようにみえるのだろうか。
娘は“ここではないどこか”を求めて故郷を離れ、望まない結果になった。
いっぽうで娘の後を追った父は、みずからの意思ではなかったものの、人生で失ったはずのものと出会うことになる。
ふたりは故郷にもどるが、感想はまったく違う。
娘は「変わらない」と言い、父はまったく別の場所にみえている。
想いが異なるのだ。
どちらにしても、故郷とは暮らすものに寄り添ってくれる存在であることは間違いない。