このレビューはネタバレを含みます
父親によって怪物にさせられた兄弟。
1人の保護司が抱え込むにはあまりにも重すぎる誠と実の人生。
復讐に復讐を重ねついに元凶である父親に辿り着く。
それなのに撃てなかった。
『俺が撮ったんだ』と言っていた妻と息子たちが楽しそうに笑うビデオの動画が頭をよぎって涙が止まらなかった。
家族を暴力で苦しめ兄弟から母親を奪ったクズ野郎にも一瞬かもしれないがいい父親の顔があったんだろう。
きっとそれが実の手を止めてしまった。
ラスト30分の怒涛の展開はまさに地獄絵図。
誰も幸せになれない。
弟の最後の思いを受け継いで復讐を終わらそうとした誠を阿川が止めてくれてよかったと心底思った。
『戻ってきて。このままじゃ人間に戻れなくなる』
阿川が何故、無報酬の保護司になったのか
ずっと疑問だったが最後に明かされるその理由にスッと腹落ちした。
『法律や福祉だけではあなたを助けられない、それが現実です』
『でも辛くなったら私を訪ねてください、私がお手伝いします』
最後まで誠に優しく寄り添う阿川が印象的でした。
思い出のラーメンを2人で就職のお祝いにと食べられる日が来ることを願ってやまないラストでした。
色んな映画を観て思う。
役者森田剛はもっともっと評価されていいはず。