東北のとある町。東日本大震災の慰霊碑の前に、男が一人立っている。平成から令和に変わった2019年。渋谷の街はハロウィンでにぎわっていた。ピエロの恰好をした男がひとり、颯爽とスケボーで現れる。彼は無言でハロウィンを楽しんでいる。高校で人気者の長谷川涼はいつも笑顔で、親友の小林健太や浅沼悠斗、クラスメイトに囲まれて日々を楽しく過ごしていた。しかし一人になると「めんどくさ」とため息をつく。部活にも入らず家にまっすぐ帰宅する。そんなある日、転校生がやってきて、「ねぇ、涼君って本当に笑ったことあるの?」と、笑ってみせた。その言葉を向けられた涼は―――。
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