ぶみ

パンケーキを毒見するのぶみのレビュー・感想・評価

パンケーキを毒見する(2021年製作の映画)
4.0
羊の国家は、狼の政府を生む。

内山雄人監督によるドキュメンタリー。
第99代内閣総理大臣、菅義偉の素顔に迫る。
数多あるドキュメンタリーの中、現職の総理大臣にスポットを当て、なおかつ、その政治スタイルを真っ向から斬っていく内容は、それだけで価値あるもの。
何かこれといったスキャンダルを暴くわけではないが、時折アニメを挿入したり、国会答弁のシーンを解説したりと、菅政権に限らない今の政治の問題点をわかりやすく、かつエンタメ性を高めて伝えてくるものに仕上がっている。
反面、これは本作品と同じ河村光庸がプロデュースした藤井道人監督作品『新聞記者』でも感じたことだが、こういった作品を見てもらいたい人々に、いかに見てもらうかが最大の問題であり、民意が真に反映されるかどうかは別として、作中で石破茂が言っていたように、選挙の投票率を上げるには、もはや投票義務化しかないのでは、とも感じた次第。
そんな中、本作品公開中に、菅首相が次期総裁選に出ないとした現実が最もシニカルなのには笑うしかない。
政治の現状と問題点をエンタメ性たっぷりに描いた内容に、素直に笑っていいのか、笑っている場合じゃないのかわからなくなる一作。

自助、共助、公助、そして絆。絆とは何だ。
ぶみ

ぶみ