本を読んでいるような感覚に陥る。
そんな素敵な一本だった。
今日のような、
夏から秋に移り行く、
ちょっと風の涼しい夜に見るのが尚よきだった。
ひとり旅をしている語り手。
旅先で出会った人との会話、
歩いていて目の前に映る景色、
ふと耳の中に入ってくる音だったり…
その中で感じたことや思ったことを
優しく、そして私の中にスッと入ってくるような
心地良さで語りかけてくれた。
ひとり旅での自由な旅。
とりあえず当てもなく街を歩いてみたり、
ちょっとだけ勇気を出して声をかけてみたり。
そうすると国によって、街によって、
文化が全然違うことがわかって面白い。
美味しそうなドーナツ、
夜中でもきらきら光る街並み、
早朝から始まる海沿いのカフェ、
高台から見渡す旅先、
会話はないけど目が合うと笑顔の人たち、
都会にはない人間らしさが
ちょっと外れた田舎町にはある。
自分らしさ。
何か悲しいことや辛いことがあったら
それが見出せる、逃げ場所みたいなところ。
そんなところが1ヶ所でもあるだけで心が軽くなる。
働き屋さんは食いしん坊。
当たり前でいい。
普段は心の中の引き出しに入ってしまっている感覚を
旅先ではちょっとだけ開けてみることができる。
だから旅っていいなって思う。
し、これからも旅をすることを好きでいたい。
2023年/179本目