ShojiIkura

梅切らぬバカのShojiIkuraのレビュー・感想・評価

梅切らぬバカ(2021年製作の映画)
3.9
 福祉業界で働く僕にとって、ものすごくシリアスなテーマであったが、それをユーモアで包み、特に社会への提言もなく、現状を切り取るだけ、というのがむしろライトな感じで観れてよかった。
 自閉症なんてパニックを起こしている様は怖いと感じるかもしれないが、パターンを知ってしまえばこれほどわかりやすい人はいない。知的障害者に通じるのは裏表のないわかりやすさ。精神障害者や認知症とは違う。世の中に彼らよりわけがわからなくて恐ろしい人はたくさんいる。
 反対運動はどこにでも向けられる。今回知的障害者のグループホームのみならず乗馬クラブに対してもあるということを知ったが、老人の施設も、病院も、幼稚園や保育園にだってある。あなたたちは、住宅しかないところで暮らしたいのか?自分の親や自分がいずれ老人施設を利用することになったとき、人里はなれたところにしかなかったらどうなのか…それでも認知症となった人が近くに住むのはだめですか?
 ちゅうさんのような人はずっと奇異の目を向けられ、疎まられる人生だっただろう。それを支える親たちは、僕の知る限りとてもオープンで、寛容さを持った人がほとんどと感じている。思うに大変な子育てを経て「人と違う子を育てた意義」を感じているのではないか?「ありがとう」と母親が言う場面が、全てを物語っていると感じた。
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