わっしょい

ノイズのわっしょいのレビュー・感想・評価

ノイズ(2022年製作の映画)
3.6
誰が為に嘘をつく。

村社会の気持ち悪さ、脆さを感じられる作品。
殺人を住民ぐるみで隠蔽しようとするし、それが良いことかのように描かれる。
バレそうになる度に嘘が重なり、状況は悪化するのに、それが悪だと疑わない。
むしろ警察に対抗して結束が高まる。
村社会特有の排他的な様が気持ち悪い。
嘘によって身内が傷ついていってもやめられない。
一体何の為の嘘なのか。
刑事の言っていた、滅んでいく村特有の空気感というのが、本当にこの世界観を的確に表していた。

嘘というものの脆さも感じられた。
皆を巻き込むほど嘘の信憑性は上がるかもしれないけれど、それだけ綻びの出るリスクも上がる。
気持ち悪いほどの仲間意識のある村社会であっても、少しのノイズで瓦解する。
嘘がいかに空虚なものか、見せつけられた。

ラスト近くの長回しのシーンが非常に良かった。
主人公と親友がハウスの中で追い詰められるシーン。
長回しならではの緊張感があり、緊迫した雰囲気がより高まる。
実力のあるキャスト陣だからこそできることだと思う。
邦画、特に豪華キャストの作品は、逆張りする人が多いのか、不必要に評価が低くなっている気がする。
こういうシーンが見られるのは、そういうキャストのおかげだし、低評価作品も全然捨てたもんじゃない。

ちょっと気に入らなかった点として、BGMが意味不明だった。
最初、島内のアナウンス音かと思ったほど、主張が強い。
タイトルに沿ってノイズ感を出す狙いなのかもしれないけれど、不快感を刺激するというより、単純に邪魔だったかも。
わっしょい

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