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殺人鬼から逃げる夜のmatchypotterのレビュー・感想・評価

殺人鬼から逃げる夜(2020年製作の映画)
3.6
前から気になってたやつ。

日本の視覚障害者を持つ元警官が犯人と攻防を繰り広げる『見えない目撃者』。

に対して、韓国のこれ。
聴覚障害の女性が猟奇殺人鬼に追われる一夜を描く作品。

最初から犯人が誰なのかがわかってるパターンの映画。だから面白い。
彼はあの手この手で多くの人を手にかけてはその容疑から逃れている。

今回もその中の1件、聴覚障害の女性を標的にしたはずだった。

男女の腕力の差はもちろんのこと、相手が聴覚障害であることで絶対的に犯人側に優位であるこの構造の中で何とか必死に逃れようとする女性の逃亡劇。

犯人も“耳が聞こえない”ことを利用することに加えて、どうしても聴覚のハンデで他の人にも彼女の意思が伝わらないことも彼女の不利を加速させる。

彼女の母親も巻き込まれるが彼女もまた聴覚障害。

彼女たちの前に別の女性を捕らえていたことで、その女性の兄が加勢するも妹が人質になっていることもあり、なかなか複雑なことに。

最初から最後まで他に助けが来ない閑静な場所で話が進むのかと思ったが、警察署に駆け込んだり、繁華街の中を走り回ったり、思ったより派手な展開だった。

派手な展開だからこそ、耳のハンデがものすごく重くのしかかる。
言葉がうまく話せない、相手とうまくコミュニケーションできない、自分の思いが伝わらない。

周りに助けを求められる人がいても、それが伝わらない。この恐怖と絶望の中で、犯人側も先手を打って適当に理由をつけて周りを抱き込めるという常に絶対的に犯人側が有利な状況が続く中、どう逃れるか、、、。

彼女も本当に普通の女性で、さらにハンデもあってどう考えても犯人から逃れられそうにないだけにどう抵抗していくか、は見応えがある。

その状況が逆に犯人の油断や隙も誘ってたこともあるし、犯人が“有利に進められる”と思っていただけにこの最後の展開で足元を掬われている。

いきなり犯人登場するし、聴覚障害の特徴をさり気なく刷り込みながらかなり早めに事が起きて、そこからノンストップ。

一切無駄のないハイテンポの殺人鬼スリラー。
耳が聞こえてないことを視覚的に表現するうまさ。

手話により親子だけで会話はできる、口の動きで会話は読み取れるけどその角度やパターンは無理、みたいな数少ない優位性や独特のプロットも駆使していて、“ならでは”をしっかり感じられる作品。

やっぱり、さすが安定の韓国。

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TSUTAYA DISCAS運営の映画コミュニティサイト「Discover us」にて同アカウント名でコラムニストをさせて頂くことになりました。
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別視点で色々映画について書いていこうと思います!ご興味ある方は是非お待ちしております!
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