ぶみ

ハード・ヒット 発信制限のぶみのレビュー・感想・評価

ハード・ヒット 発信制限(2021年製作の映画)
3.5
仕掛けられた爆弾、車を降りれば即爆破、人質は娘、そして自分。

キム・チャンジュ監督、チョ・ウジン主演による韓国製作のスリラーで、ダニー・デ・ラ・トレ監督、2015年公開のスペイン映画『暴走車 ランナウェイ・カー』(原題:El desconocido)のリメイク。
こどもを学校に送るために乗り込んだ愛車に、爆弾を仕掛けられた主人公の姿を描く。
オリジナルは未鑑賞であるものの、クリスティアン・アルヴァルト監督、ヴォータン・ヴィルケ・メーリング主演によるドイツ製作のリメイク『タイムリミット 見知らぬ影』、ニムロッド・アーントル監督、リーアム・ニーソン主演によるイギリス製作のリメイク『バッド・デイ・ドライブ』は鑑賞済み。
主人公となる銀行の支店長・ソンギュをウジン、彼の娘・ヘインをイ・ジェイン、謎の脅迫者役をチ・チャンウクが演じているほか、警察の爆破処理班長としてチン・ギョンが登場。
物語は、クルマから降りると爆発する爆弾を仕掛けられたソンギュの姿が中心となるため、ほぼ車内にいるというワンシチュエーション要素や、作品の進行が上映時間そのままのリアルタイムで進むという展開は、いずれのリメイク版と同様であり、主人公等の職業や、家族関係に一部違いはあるものの、物語そのものも、ほぼ同じ。
ただ、中盤に主人公のクルマが警察に囲まれ身動きが取れなくなるシーンがあるのだが、ここが他リメイクと比較すると少し長く、間伸びしてしまったかなと感じた反面、全体的なドラマは、韓国作品らしく、濃厚な味付けがなされていた印象を受けたところ。
そして、ドイツ版、イギリス版のいずれも主人公のクルマがメルセデス・ベンツだったため、本作品でもベンツかと思いきや、ヒョンデの高級ブランド・ジェネシスのSUV、GV80だったのには韓国らしさを感じた次第。
原題の直訳が『発信制限』であるため、英題とのダブルタイトルとなった邦題のクドさは気になったものの、本作品をベースに日本版リメイクをするなら、主人公を橋下徹、娘を杉咲花、脅迫者を林遣都が演じ、横浜あたりでトヨタの別ブランド、レクサス・RXで走り回るのがピッタリだなと思うとともに、韓国製作の『最後まで行く』が中国、フランス、日本と各国でリメイクされているのと同様、短い尺の中にサスペンス要素が凝縮された内容はリメイクしたくなるのもわかるため、唯一残されたオリジナルがどんな仕上がりなのか気になる一作。

自分以外はバカだという考えは捨てるんだ。
ぶみ

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