ふじこ

キルナとキガリのふじこのネタバレレビュー・内容・結末

キルナとキガリ(2012年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

ルワンダで年若い女性が今にも子供が生まれそうなのに、産婆さん?によると逆子のようですぐにでも病院へ行かなければ死んでしまうと宣告される。
一方、雪の降るスウェーデンでもまた女性が夫もなく一人で陣痛の始まりを感じているものの、余計な世話をかけたくないとギリギリまで自宅で粘っている。

ルワンダの方でも、出産の迫る女性には夫がおらず、また両親もいないのかまだ子供の弟には自分しかいないと苦しみながらも心配し、弟の方はなんとかして姉を病院へ連れて行かねばと手押し車を持ち出したりする。
そんな中、如何にもイジメっ子風の子供たちがやってきて、託されたペンダントをあげるからと助けを請い粗末な担架で子供たち皆が協力して担ぎ上げ、病院へと長い道のりを歩く。
やっと病院へ辿り着くと、医者は出ていったばかり、走れば追いつくよと言われて弟は急いで医者を追い掛ける。
すぐに見付かった医者の背中に声を掛けると、スウェーデンで一人陣痛に耐えていた女性。
彼女が手早く処置をして、無事に女の子が生まれる。

スウェーデンでは女性がシャワーを浴びていると出血。きちんと経過観察をしていたのに予定外に子宮口が開いたのか急いで外出の準備をして救急車を呼ぶものの、20分かかると言う。近所の人に助けを求めようにも誰もおらず、結局一人で雪の中車を走らせる事に。
ルームミラーには、ルワンダ編で出て来たあのペンダントがぶら下がっていて、あの後に弟から貰ったんだろうと想像出来る。
しかし一瞬のスリップから運転操作を誤り、雪の山に突っ込んで停車。なんとかしようとするものの今すぐにでも生まれてしまいそうになる。
声を上げながらだめ!だめ!と繰り返す中、ルワンダでの無事に生まれた赤ちゃんを窓から覗き込む子供たちと、無事に処置を終えて病院を出る女性の笑顔のやり取り。
そして暗転。赤ちゃんの泣く声だけが響く。


明らかに貧しい方と分かるルワンダでは、子供たちが協力して無事に出産を終えられたのに、恵まれている方であるスウェーデンでは自身も医者である為か、早く病院へ向かって余計な世話を掛けたくはないと無茶した結果事故に遭う。
母親でさえも突き放した結果、一人雪の山に突っ込んだ車の中で出産する事になってしまったのだけれど、この場合ってひと2人の命が懸かっているんだし、新たな生命の誕生は社会的にも喜ばしい事なんだからやっぱり早めに行動しとくのが正解だったよね…。言い方を変えれば、母親のエゴで子供の命が危険に晒されてしまう訳だし…。
でもルワンダでの彼女を観ると絶対悪い人ではないし、すぐに誰かが見付けてくれるとか、そうこうしてる間に救急車が到着するとか、助かると良いなぁって。
ふじこ

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