yayou

すべてうまくいきますようにのyayouのネタバレレビュー・内容・結末

4.1

このレビューはネタバレを含みます

難しい題材で湿っぽくなりそうなのに、そうならない。カラッとサッパリと描く。
強い意志で死を願うようになるアンドレ。それに納得はせずとも父の願いのため動く娘たち。その姿はたくましく、優しくて強い。

ゴダールも選んだ安楽死。私たちにはあまり馴染みがないけど、国や宗教によっても違うんでしょう。
しかし、間違いなく、それを実行できるのはお金がある裕福な人だけだろう。

「人生は美しい」と何度かでてくる。美しいとわかっているからこそ、「終わらせてほしい」と願うのか。まったく家族につらいことを頼むものだ。なのに何故か憎めないアンドレ。
娘のエマニュエル役のソフィーマルソーさん素敵だった。

やけにリアルに感じると思ったら、脚本家さんの実エピソードがもりこまれていると。
本編より、エグい画面だったTVの中のホラー映画。お見舞い後に自宅で見るシーン!?

最後のドタバタ劇。少しクスっと笑ったし、結果無理なんじゃないかと思ったけど、スイスの協会から最後まで「順調でした」と報告があった。
安楽死、それは絶対に自殺だと思う。いいか悪いかの論議は、おかしくなりそうなのでしない。。けど、産業社会で生きる人間の傲慢で究極の理想、夢なのかもしれない。だって、『アンデスふたりぼっち』の標高5000メートルで生きるあの2人は、絶対自ら命を絶ったりしないと思う。ひとりぼっちになったパクシが上へ向かったが、自然に命が絶えて大地にかえるだけだろう。(…ちょっと脱線)


印象的だったこと。
彫刻家の奥さんのことを、セメントの心と言ったアンドレ。グレーも色。いろんな色がある。愛は深く難しいものだと知らぬのは彼だけだ。

安楽死実行の前にやめた重度の男性の話。歳の離れた若い奥さんに最後に赤いドレスをプレゼントするが、あまりにもの美しさに、もっと見ていたいから生きることを選んだと。
アンドレも孫の演奏会のを見たいので、実行の日を延期する。


ブラームス ピアノソナタ
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