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ビヨンド・ユートピア 脱北のyayouのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

5人の家族の決死の脱北と、一人の脱北した女性が息子の消息を追うお話。さらには脱北した女性と男性の話を織りこみ、再現動画などは使われていない。
こんなドキュメンタリーが撮れて、公開できるのかと、まずそのことに驚く。

色んなところにカメラがあり秘密で手渡すブローカーがいる。
脱北するにも、情報が絶対に必要だ。
なんでこんなにもブローカーがいて、自らの危険をおかしてまで助けてくれるのか。全くの善意ではない。お金なのだと。みんながみんな金だけでないと思いたいのは、お気楽な場所で私が生きているからだろうか。

この5人の家族を元々追ってのドキュメンタリーかと思ったら、国境付近でとまっている家族がいると、牧師さんに電話が入ったからである。 
なんでか?
見つけた人にとって、この家族は売る価値がなく、牧師さんに連絡して、脱北の支援者からお金をとる方がいいから。そこもなんとも言えないが、この家族にとって牧師さんとの出会いが、奇跡。

牧師さんが何でこんなに、脱北するためのルートに精通しているのかは、今の奥さんを韓国に連れてくるために、あらゆることを試したからだそう。
奥さんは恰幅のよい牧師さんに一目惚れだったらしい。北朝鮮の男性はみんな痩せていて、あなた金正日みたいね、と。最大の褒め言葉。。

家族の脱北はもちろん壮絶で、牧師さんからブローカーへの連絡とお金と緻密な計画により、たくさんの人の手を渡っていく。夜のジャングルを10時間もあるく。80歳のおばあちゃんと小さな子が二人もいる。同じところをぐるぐるブローカーに歩かされる。それも金だ💰


17歳の息子の現状を調べる母親も、ブローカーを雇い、お金を払う。法とか良心とか、そんな次元でなくて、闇や地下ルートの情報や手助けが必須。命がけだから。

北朝鮮の壮絶な現実。国ごと刑務所だと。
洗脳、教育。
だから、おばあちゃんが元師のことを未だに悪く言わず、国民の働きが悪いからだと言うのが、気持ち悪くも、仕方がないことだと思った。
だから韓国に着いて、若い時に来ていたらお洒落ができたのに、という言葉が嬉しく微笑ましかった。 その後競争社会の韓国で幸せに暮らしていけるのかも、気になるところではあるが…

この国に生まれなかったら。
母と子が一緒にいたいと思うのがいけないことなのか。
私は生まれたのが、今の時代の日本だったけど、もし北朝鮮だったら?
政権が憎いと言った、脱北者。北朝鮮にいる友だちや親戚を思いだす。故郷を捨てたいわけではない。そうしないと生きられないから。

これは、いろんな歴史や戦争があっての今である。日本が全くの無関係であるわけもない。
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