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レッド・ロケットのこじTのレビュー・感想・評価

レッド・ロケット(2021年製作の映画)
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●RED ROCKET

ハリウッドの奇才ショーン・ベイカーの仕掛ける、大大迷惑なサクセスストーリーを夢見る、最低最悪な元ポルノスターのヒューマンドラマ。
フィルマークス試写会にて鑑賞。いつもありがとうフォルマークスさん。
本公開日は4/21。
ナルシスト、自己中、他力本願っぷりが凄まじく、映画全編通してともかく"最低"に描かれる主人公マイキー(演サイモン・レックス)。
こういう映画って大体『でも憎めない』みたいな要素とかシーンとかを入れて、少しだけ感情移入させるパターンが多いのだけど、ちょっとこの主人公は違う。
すごく嫌いというわけでもなく、少し好きになるとも違う。
なんだろうなぁ…この"感覚"を知っているというか、目の前のちっぽけな希望に縋ったり、他人に対して自分を大きく見せたりだとか、マイキーに共感するような、彼の中に自分を見ているような。
だからなんだろうか、彼に自分を観た人間には結末の"先"が見えてしまう。
『光の当たらない人間を描く』ショーン・ベイカーらしい不思議な感覚。
主演のサイモン・レックスがとても爽やかなクズを演じていて、ともかくそれが素晴らしいの一言に尽きるのだけど、彼を取り巻く人々も一癖も二癖もあって良い。
『フロリダ・プロジェクト』でも見せた、美しい風景や空気感も印象的で、映像としてもかなり楽しめる。
とは言え、隙あらばセックスしまくってるし、まぁ何より主人公のクズさに対してフラストレーションが溜まる人も多いし、ストーリーもラストも癖があるので、万人にオススメできるものではない。
まぁそれはショーン・ベイカー作品全般に言えることですからね。
ただ主観的な感想で申し訳ないのだけれど、嫌いじゃないんだよな、という一本。
レッドロケットって、つまり使い捨てミサイルの意?
これはジワジワ来そうだなぁ。
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