一人の男の歯車が段々と狂っていく様子をただ見せられ続ける映画。
個人的にはこういう実話系って綺麗にとるか、残虐さを見せつけるかのどっちかが多いと思うけど、綺麗にしすぎてはいないのにロケーションの自然美が不穏さを際立てていた。
やはり見ていると多少可哀想と思ってしまう部分もあるにはあるが、それにしたって自業自得ではある。
健やかに生きにくい世の中ではあるが、自分なりに工夫していたんだろうな、という部分が垣間見れるのが結構くる。
どうにかして救える道がなかったのかな、と思うけど自業自得な部分が多すぎて匙投げたくもなるよね。
私は他人だから、本人と周りがひとつひとつ理解出来ていたら違った結末だったのかなーって軽々しく考えてしまう。
個人的に一番心にきたシーンは、序盤の母親が「薬を飲むと楽になる」と言ったのに対して「貴方が?息子さんが?」と聞き返されるシーンだった。
ここ本当にえぐいやばい。
二トラム役の方、ゲットアウトに出てたイケメンのイメージ強かったが別人の様で惚れ惚れした。
もちろん顔の造形が美しいことに変わりはないんだけど、体つきと挙動が街でたまにエンカウントするヤバい人そのものだった。
指先まで気を使って細かな心情を表現していて本当に素敵。
リアリティが強いので話としての起伏はそこまでないと思うけど、素晴らしい演技力で目が離せない作品だった。